「サドル前後」


図のオレンジの線をを見てください。オレンジの実線と破線の関係は全く合同な三角形でBBを中心に少しずれています。三角形のそれぞれの頂点はBB、転子(大腿骨の付け根)、手です。つまりどちらの三角形も体の形フォームとBBやクランクとの関係は全く同じです。
この二つで違うのは重心と前傾です。脚に対して上半身の角度は変わっていませんから前傾と言ってしまうと少しニュアンスが違ってきてしまうかもしれません。
この重心と前傾がサドル前後の影響です。もちろんハンドルポジションを調整してこのオレンジ三角形を維持した場合です。さらにサドル部にある青い線に注目してください。これはBBを中心にコンパスで線を引いたのですが、BB−サドル距離(あえて高さといわない)を一定にすれば、破線のように後ろに動かせばピラーは下げていかなくてはならないことがわかります。サドルによっては角度も変えていかなくてはならなくなるかもしれません。
逆にこの三角形を維持したまま、背中が地面と平行になるくらいまで前傾してしまうのがタイムトライアル専用のポジションです。BB−サドル距離は変わりませんし、脚と上半身の角度も同じですからペダリングには何の影響も与えず、エアロポジションが取れるでしょう。しかしお尻はBB直上付近になり(ルールでサドルを前に出すことには規制がかかっているので先端に座ることになる)重心はかなり前、上半身はほとんどハンドルに預けてしまうようなポジションを取ることになるため、不安定になってしまいます。
つまりこの重心と前傾は相反する性質を持っていますので、サドル前後はこの二つをどこで妥協するかということで決まるのです。