「シャンパンは絶対に飲まない」

ツールドフランス最終日シャンゼリゼへの間、特に活躍した選手やいい順位に入った選手などに主催者からシャンパンが振舞われます。

そしてもちろんランスにも。

しかしランスは7度の優勝の中で全て飲む真似をカメラマンにしただけで「飲む」と言う行為は1度もしなかったそうです。

対してウルリヒさんはランス連勝中はもちろん一度も勝てなかったのにいつも盛大に一気飲みしていました。

ランスはなぜ飲まなかったのか99.99%勝利が確実でもその0.01%のためにリスクを負わない。極限の節制によるものです。もし酔って落車をしてリタイヤしてはだめですし、ランスは主催者のASOとは仲が悪いですから毒物やもしかしたらEPO(自転車選手一番人気のドーピング)が入っていてランスを陥れようとする可能性だってけして0ではありません。

またランスはオフのときもケーキを食べません。ヴァンデンブルックのように朝がいりなんて考えられません。

ランスはツールに勝つ一瞬の至福のときのため人としての楽しみのほとんど棄て努力したのです。
いままできっとランス以上に自分に厳しい自転車選手はいないでしょう。

ランスが最後まで誰にも負けなかったのは自転車選手の中でもっとも努力をした選手だったからです。どんな辛いことでも耐える強さを持っていたからです。

才能はもちろんあったでしょう。しかし自転車をこぐことについてはもっと才能のある人はいたと思います。でも甘えないことも才能のうちです。

そしてウルリヒはランスがカムバックしたとしてもなんどツールを戦ったとしても一度も勝つことはできないでしょう。ランス以上の努力をしないかぎり。

明日は「ランス アームストロングはなぜ強かったのか」最終回、勝負事の最後はこれに尽きるでしょう。「運」です。