「有酸素運動能力」つづき

前にランスはマッチョで体重が重いと書きました。しかしスプリンターと呼ばれるペタッキボーネンなどは体重が重いことによって登りが苦手です。
この違いはどこにあるか。それが昨日書いた遅筋と速筋の違いでランスは遅筋で太り、スプリンターたちは速筋で太っている。だからランスだけが登れるのです。しかしそれならルーラーと呼ばれる例えばバックステッドやデッカー、フレチャなんかも登れるはずです。

ここでONIX理論を少し。これは何の根拠もないのですが、筋肉の有酸素運動能力と言うのは芯に行けばいくほどより性能がよくなる。より大きな力を出そうと思えば鍛えて筋量を増やせばいいのですが、パワーウエイトレシオの概念でいくと例え絶対的なパワーが少なくとも筋量を減らしてでも体重が軽いほうがよい場合が多い。つまり体でいうと皮に近い筋肉より骨に近い場所にある筋肉のほうが効率がよい。というものです。

スプリンターはともかくとして、もし筋肉の場所による違いがなかったとしたらバックステッドような大型のルーラーでも結構登れてしまうかもしれません。だからクライマーは効率の悪い外側の筋肉を減らしより性能のいい骨に近い筋肉だけを残しラスムッセンのようにガリガリになったほうがパワーウエイトレシオの点では有利であると言うことです。

まあ考えてみてください。筋肉は(遅筋は)血液からエネルギー(酸素)を補給しているわけです。体の芯のほうと外のほうでどちらが血液が行き届きやすいか。

普通はそうなんです。われわれ一般人も大概のプロ選手でも。
でもごくたまにいるんです、例外が。
それがランスでありツール5勝クラブの人たちです。
今まで書いた内容が正しいとすればマッチョで体重の重いランスはあまり効率のよくない筋肉を錘としてぶら下げているわけです。しかしランスの筋肉は全ての部分で他の選手よりも有酸素運動能力が高かった。そんな筋肉だから削るよりむしろマッチョになったほうが得というわけです。だからパワーウエイトレシオの面でも他より勝っていた。結果として山頂ゴールのレースに勝てたのです。



しかしなぜランスだけがこのような特徴があったのでしょう。
それは明日「毎分20回!?」で