「経験値が30増えた、レベル16にアップした」(ファンファーレ)

日本語的に感(経験)の向上というのはちょっとおかしいですね。とにかく経験をつむということです。
皆さんちょっと考えてみてください。自分の周りに練習では必ず勝てるのにレースではどうしても勝てない人とかいませんか?反対に練習ではいつも負けるのにレースではなぜか先着できてしまう人。
この差は何なのでしょう。
答えがわかれば苦労しませんが、ある程度はわかります。単純に感がイイのです。じゃどうにもならないじゃないかと思わないでください。ここで定義している感というのは第六感ではなく経験に基づいて無意識に判断している能力のことを言っています。人間は経験に基づいてここは危険だとか、この食べ物はうまそうだとか考えています。
自転車についても同じことなんです。例えば誰かがアタックしたとします。そこであなたは瞬時に「すぐ追う」「ゆっくり追う」「無視する」等の選択をして行動します。そこでの判断の基準は「相手の強さや脚質」「コースレイアウト」「ゴールまでの距離」「周りの反応」「逃げ切れるか集団スプリントか」「相手と自分と周りの消耗度」「自分の強さや脚質」…などなど他にもたくさんありますが、これらのほとんどが「あの時こうだった、このときもこうだった、だから今回もこうなるだろう」といったことを無意識に思い出し判断しているのです。
問題はこの経験をいかにしてつむかです。小さいころから自転車の競技をしている人ならイイでしょう。しかしここ日本での自転車競技を始める年齢というのは平均すればかなり遅いと思います。私にしたって自転車の競技を本格的に始めてから1年半たっていません。じゃ結局どうにもならないじゃないかとは思わないでください。
大事なことはできるだけ質の高い経験をつむ努力をするということです。具体的にはとにかくローカルなレースでも積極的に参加する。活発なチームの練習に参加する。練習に実戦形式の練習を取り入れる。ローラーで練習するにしてもツールの映像を見ながらウルリヒのアタックに反応するとかフレチャと逃げてみるとかも効果的でしょう。いわゆるイメージトレーニングです。
また私がやってみてよかったのはバンクのレースに参加するというもの。私は以前それなりのスプリント力があるにもかかわるずゴール前が苦手でした。これを何とかするためにロードで参加できるバンクのレースに参加しました。種目はケイリンとスクラッチで予選決勝あわせ4回のゴールスプリントを経験できたわけです。これが自身のベストリザルトであるリッツ4位に結びつきました。またリッツでゴール勝負に絡んだことでロードレースのゴールスプリントの経験も得ることができました。この経験があったからこそ先日のけいはんなでのC1U23最後尾付近から15位まで追い上げる走りができたのです。周りの強い人は囲まれたとか早くかけすぎた、などなど力を出し切れなかった人もかなりいました。
最後にこの時期自転車を始めてレースにはじめて出るという方たくさんおられると思います。初めてのレースや最初の数戦目までは勝ちを狙ってカテゴリーを下げたり完走すらままならないようなレースには参加せず自分にちょうどあったレースで経験をつむべきです。慣れてくれば逆にレベルを下げて勝ち方を覚えたり、レベルの高いレースでトップレーサーの走りを間近で見るのもよいでしょう。その後また自分にあったレースの成績はよくなっているはずです。また特に学生の方へ学連のレースに出るのはイイのですがもし完走さえできないのだったら、まずは自分が勝負できるカテゴリーで経験をつむべきです。そうすれば楽に走る方法なども体が覚えてくれるはずです。結果的に学連のレースも走れるようになるはずです。レベルの高いのレースに出ても一人旅の末15分でおろされてしまってはほとんど経験値は得られません。