3dayE1プレビュー

JBCF唯一のステージレース。そしてクラブシルベストにとってシーズン前半の最重要レースである。そんな3day熊野の見所を紹介していこう。

熊野コース編
熊野のコースは全てが生活道路であり、さらに長めの周回かラインレースであるため、本場ヨーロッパに見劣りしないコースが設定されている。世界遺産熊野古道周辺の山岳地帯や港町を駈ける様子は、同時に行われているジロデイタリアと遜色ないといえば言いすぎだろうか。
また熊野の三日間の中には自転車レースを全ての要素が含まれているといって言い。1stは平坦、2stは山岳、3stは海風にアップダウン。そしてめまぐるしく変わる天候。そんな真の実力者を選び出す熊野の各ステージを見ていこう。

1at赤木川清流ステージ
我々シルベストにとって非常に相性のいいステージである。なんとコースが採用されてからJBCF主催レースではすべて優勝を飾っている。
川沿いを往復するコースは基本的にスプリンター向きである。しかし狭く急な起伏を含みゴール前の二度の直角コーナーなど、スピードと共にテクニックを試されるコースとなっている。ポイントは集落を抜ける折り返し区間で、自転車3〜4台しか通れない道でアップダウンを繰り返す。昨年から採用されたスタートゴール地点手前の「激坂」も気をつけなければならない。ただこちらは最終周回はスルーする。ゴールスプリントになった場合、ゴール直前二度の直角コーナーでは、スピード、技術、タイミング、何一つ間違ってはならない。
折り返し地点のレイアウトはアタックするには最適である。しかし川沿いの平坦区間が長いため逃げ切りは難しい。

2and熊野山岳ステージ
本州で唯一といって言い実質のラインレースである。山岳ステージの名にふさわしく中間地点にはKOM千枚田の登りが鎮座し、その前後にもこまかなアップダウン絶え間なく続く。昨年からゴール地点が札立峠中腹から、熊野クラブへの300m一直線の登りに変更され、クライマーだけでなく多くの選手に可能性が開けたといえるだろう。
レースおいて鍵を握るのはやはり千枚田の登りである。山の斜面一面に広がる棚田は絶景であるが選手に眺める余裕はない。生粋のクライマーはここでKOMとともに大きな差をつけて、独走または少人数での逃げ切りを狙いたい。また千枚田の下りは非常にテクニカルで滑りやすい。周回ではないため、コースを知っているか否かが致命的となることも想像できる。千枚田で粉々にされた集団は、風伝トンネルからの下り基調で徐々に形を取り戻す。登りをこなせるスプリンターは何とか食らい付き、追走を組織できれば勝機が見えてくる。ゴール直前のレイアウトが変わったため、最後は登りでのスプリント力も必要となる。

3ed 大地半島
鯨で有名な大地町の港と街中を駆け巡る、ロードレーサーの総合力が試されるコースである。スタートしてしばらくでKOMにいたる登りが始まる。岸壁に沿う1キロ弱5〜7%程度の登りの先がKOMなのだが、そこから下るわけではなくさらに3%の登り基調がしばらく続く。よって登坂力は必須となる。高台の街中を抜けるとダウンヒルテクニックの試される急勾配の下りが現れ、出口の小学校前では必ずオーバーランする選手がいる。そこから港町でブラインド直角コーナーの連続はクリテリウムのよう。この区間は路面も悪く、ストップ&ゴーの連続となり技術はもとよりインターバルの力が要求される。一昨年から新設されたトンネルを抜けるとスタートゴール地点まで平坦路となる。しかしここは海岸線を走ることになるため、海風と戦わなくてはならない。
すなわちこの大地半島ステージで勝つことはロードレースの全ての要素において秀でていることを証明できるのである。

JBCFとしては1dayレースが三つ連なった形式をとっている。そのため総合成績にはポイントは付かない。しかし国内で数少ないステージレースであり、これだけ厳しいコースを戦い抜いた末の総合優勝は誰もがほしいタイトルである。